コンサル業界を目指す就活生なら是非とも知っておきたいフレームワークがあります。
でも、そもそも「フレームワークって何?」という人も多いですよね。
安心してください。
僕も社会人になるまでは知りませんでしたから。
今日はコンサルタントを目指す学生が知っておきたい11のフレームワークについて学んでいきましょう。
フレームワークとは
「フレームワーク」とは、問題解決や物事を整理するときに使う「考え方の枠組み」や「道筋」のことを指します。
フレームワークを使うと、何かを考えたり計画したりする時にスムーズに進めやすくなり、効率的に答えを導きやすくなります。
就活の「自己分析」でよく使うのフレームワークとして「過去・現在・未来」というフレームワークがあります。
このフレームワークを使うと、自己紹介や志望動機を整理しやすくなります。
過去:どんな経験をしてきたか
現在:今はどんなスキルや強みがあるか
未来:将来どうなりたいか
このようにフレームワークを使うと、面接やエントリーシートで「わかりやすく伝える力」が向上します。
他にも「PDCAサイクル(計画・実行・確認・改善)」など、仕事でも役立つフレームワークがたくさんあります。
今回はそんなフレームワークの中でもコンサルタントが好んで使うフレームワークについて一緒に学んでいきましょう。
MECE
「MECE」とはMutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略。
日本語では「モレなくダブりなく」と訳され、情報やアイデアを整理するときに役立つ考え方です。
「ミッシー」と呼ぶのが一般的ですが、「ミーシー」と言う人もいます。
どちらも間違いではないですが、日本では「ミッシー」と呼ぶ人の方が多いそうです。
Mutually Exclusive(ミュータリー・イクスクルーシブ):互いに重複しない
Collectively Exhaustive(コレクティブリー・イグゾースティブ):全体として漏れがない
という2つの意味から構成されており、「モレなくダブりなく」という視点で物事を分けることで、問題や情報の整理がしやすくなります。

先輩、クライアントの課題を10個にまとめてみたのですが…。

う~ん、1番と9番の課題はちょっと被ってるな。もう一回MECEになるように考えてみようか。

はい、分かりました。もう一度モレなく、ダブりなく整理してみます。
ロジックツリー
「ロジックツリー」は、大きな問題や課題を枝分かれさせて細分化し、それぞれの要素を明確にしていく方法です。
このツールを使うことで、全体像を把握しやすくなるだけでなく、問題の本質を発見し、的確な解決策を見つけるのに役立ちます。
問題の「枝葉」と「根」を明確にすることで、解決手段を具体化していく際にも用いられます。
ロジックツリーを展開する際には、同一階層における分類基準をすべて揃え、なおかつその上位概念をMECEに分解することが必要となります。
ロジックツリーを作成するときに重要な点は「上位概念」(より大きな枠組み)からスタートするということです。
たとえば「飛行機」、「電車」、「船」といった階層の上位概念にあたるのは「移動手段」や「交通機関」などでありますが、またさらに「陸路」、「空路」、「海路」といった項目に分けてから各項目の下位階層に飛行機や電車を配置すべき場合もあります。
図にするとこんな感じですかね。

こんな風に階層を揃えて綺麗に分解して整理する事で、問題を解決し易くします。

八条島に行く交通手段としてはどんな方法があるの?

八丈島に行く移動手段としては陸路はないから空路か海路の2択になるね。

海路の場合はフェリーが1日に●本出ていて、空路の場合は小型の飛行機が一日●本出てるよ。

所用時間はそれぞれ何分と何分だから…。
こんな風に物事を綺麗に整理し、意思決定していくために必要な情報を整理していきます。
空・雨・傘
「空・雨・傘」とは、状況の説明から具体的な行動提案までをわかりやすく整理する方法です。
「空」と「雨」が現状分析、「傘」が行動提案に該当します。
空(状況)
現在の状況や背景を説明する。
例「空を見ると雲行きが怪しくなっている」
雨(問題・予測)
状況から予測される問題や課題を提示する。
例「雨が降り出す可能性がある」
傘(行動・提案)
問題に対して取るべき行動を提案する。
例:「傘を持って出かけるべき」

空:既存企業のリピート率が下がっていて思うように受注できていません。

雨:このままでは今年の売上は前年を割る恐れがあります。

傘:新規の顧客獲得に向けて新規獲得を強化しよう。
既存のリピート率が下がっている原因も分析して対策を考えよう。
3C分析
「3C(さんしー)分析」は、主にマーケティング戦略や事業戦略を立案する際に用いられるフレームワークです。
マーケティングの第一人者である大前研一氏によって提唱されたフレームワークです。
市場環境を「Customer(顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3つの観点から分析するものです。
Customer(顧客)
ターゲット市場や顧客ニーズを分析
例: 顧客の年齢層、購買行動、価値観、課題など
Company(自社)
自社の強みや弱み、経営資源、ポジショニングを分析
例: 自社の商品・サービスの特徴、技術力、ブランド力
Competitor(競合)
競合他社の状況や戦略を分析
例: 競合のシェア、価格戦略、強みと弱み、差別化ポイント

今回の新商品を3C分析で分析するとどんな感じになるんだ?

はい、まず顧客層(Cutomer)についてですが、60代以上のシニア層をターゲットにしています。

次に自社の強み(Company)についてですが、圧倒的な高品質にあります。

最後に競合(Competitor)についてですが、昔から大手A社が市場を独占しております。

そうか、じゃあそのA社が独占している市場に圧倒的な品質で勝負をかける訳だな。
勝算はあるのか?

はい、もちろんです。
ちなみにこの3CにContext(環境)を加えた分析をする事を4C分析と言うこともあります。
市場を取り巻くマクロ環境を分析する事で、更に一歩踏み込んだ戦略を立てていく際に役立ちます。
4P分析
「4P(よんぴー)分析」も主にマーケティング戦略を立てる際に使用される基本的かつ重要なツールです。
企業が商品やサービスを市場に提供する際の「マーケティングミックス」を整理するために使います。
【4Pの構成要素】
Product(製品・サービス)
商品やサービスそのものの特徴を分析します。
例: 製品の仕様、デザイン、パッケージ、保証やアフターサービス。
Price(価格)
製品やサービスの価格設定を分析します。
例: 販売価格、割引、支払い条件(分割払いなど)。
Place(流通・販路)
商品やサービスを顧客に届けるための流通経路や販売チャネルを分析します。
例: 販売経路、流通方法、立地戦略。
Promotion(プロモーション)
顧客に商品やサービスの魅力を伝え、購買意欲を引き出すための手段を分析します。
例: 広告、キャンペーン、SNSでのマーケティング、口コミ促進。
どういったProduct(製品)を、どういったPrice(価格)で、どのようなPlace(販路)で、どのようにPromotion(広める)するかの戦略を立てる事が、商品ヒットの鍵となります。
特に新サービスを開発した際などは、このあたりのマーケティング戦略が非常に重要となります。
SWOT分析
「SWOT(スウォット)分析」は、企業やプロジェクトの現状を総合的に把握し、戦略を立てるための基盤を構築する際に使用されます。
内外の環境を整理し、自社の強みを活かしつつ、弱みや外部の脅威にどう対処するかを明確にすることを目的としています。
Strengths(ストレングス)(強み)
競争優位性や自社の成功要因となる内部的な要素。
他社より優れている点や、顧客からの評価が高い点を明確にします。
例: 高品質な製品、ブランド力、強力な販売ネットワーク。
Weaknesses(ウィークネス)(弱み)
改善が必要な内部的な課題や、競争上の不利な点。
自社の競争力を損なう要因を洗い出します。
例: リソース不足、技術力の遅れ、知名度の低さ。
Opportunities(オポチュニティー)(機会)
外部環境におけるプラスの要因や成長の可能性。
市場や業界の変化、消費者ニーズの変化に基づき、成長のチャンスを捉えます。
例: 新しい市場の拡大、技術革新、規制の緩和。
Threats(スレット)(脅威)
外部環境におけるマイナスの要因やリスク。
市場や業界の競争激化、規制変更などがビジネスに与える影響を分析します。
例: 競合の増加、原材料の高騰、経済状況の悪化。
内部環境(Strengths, Weaknesses)と外部環境(Opportunities, Threats)を分けて考えることで、自社の現状を整理しやすくします。
戦略立案の際は、内部の「強み」を活かして外部の「機会」を掴み、「弱み」を補いながら、「脅威」に備える具体的な施策を検討していきます。
5forces分析
「5フォース分析(Five Forces Analysis)」とは、企業が競争環境を理解するためのフレームワークのことです。
このフレームワークを使うと、ある業界や市場がどれくらい競争が激しいのか、どのように成功できるのかを分析できます。
経営学者のマイケル・ポーターという人が考えた手法で「ポーターの5フォース分析」とも呼ばれます。
5つの力(フォース)とは何を指すのでしょうか。
①新規参入の脅威(Threat of New Entrants)
新しい会社がその業界に参入する可能性のこと。
例:カフェを開こうとするとき、誰でも簡単にカフェを開けるなら競争が激しくなる。
②代替品の脅威(Threat of Substitutes)
同じ役割を果たす別の製品やサービスがあるかどうか。
例:映画館に行く代わりにNetflixで映画を見る人が増えると、映画館の売上が減る。
③顧客の交渉力(Bargaining Power of Buyers)
お客さんが値段やサービスをどれくらい要求できるか。
例:スマホがたくさんのメーカーから出ていると、お客さんは「もっと安くして」と交渉できる。
④供給者の交渉力(Bargaining Power of Suppliers)
商品を作るための材料や部品を売る会社がどれくらい力を持っているか。
例:珍しい原材料を扱う会社が少ない場合、その会社が値段を高く設定できる。
⑤業界内の競争(Industry Rivalry)
同じ業界にある会社同士の競争の激しさ。
例:たくさんのピザ屋が同じ地域で営業していると、価格やサービス競争が激化する。
市場や業界で勝ち抜くためには何が必要かを考えるためのツールです。
例えば、学園祭でフードショップを出すときにも使えます。
「どれくらい競争が激しいか」「どうやったらお客さんに選ばれるか」を考えて、焼きそばにするのか?かき氷にするのかを決めましょう。
PEST分析
「PEST(ペスト)分析」は、以下の4つの外部要因を分析します。それぞれ簡単に説明します。
P:政治的要因(Politics)
国や政府のルール、法律がどう影響を与えるか。
例:アルバイトの最低賃金が上がると、人件費が増える。
E:経済的要因(Economy)
景気や物価、為替など、お金に関係する環境のこと。
例:不景気になると、商品を買う人が減る。
S:社会的要因(Society)
人々の価値観やライフスタイル、人口の変化がどう影響するか。
例:健康志向が高まると、野菜中心の食品が人気になる。
T:技術的要因(Technology)
新しい技術やITの進化がどう影響を与えるか。
例:スマホが普及して、SNSで宣伝するのが当たり前になる。
PEST分析は、自分のアイデアが成功するために、周りの環境を調べる道具です。
難しく見えますが、「政治・経済・社会・技術」という4つの視点で考えるだけなので、使いやすいフレームワークです!
例えば、学校でのイベントや将来の仕事を考えるときにも役立ちますよ!
STP
「STP(エスティーピー)」も、マーケティングでよく使われるフレームワークです。
「セグメンテーション(Segmentation)」
「ターゲティング(Targeting)」
「ポジショニング(Positioning)」
の、頭文字を取ったものです。
セグメンテーション(Segmentation)
セグメンテーションとは直訳すると「区別」「分割」という意味です。
「人やグループを分けること」を意味します。
マーケティングでは、お客さんを共通点ごとにグループ分けします。
例えば、同じ年齢の人や、同じ趣味を持つ人たちをまとめます。
これをする理由は、それぞれに合った商品やサービスを提案しやすくするためです。
たとえば、「10代向けのおしゃれなスニーカー」と「運動好きな人向けの丈夫なスニーカー」では、買う人が違いますよね。
このように分けることで、効率よくお客さんのニーズに応えられるようになります。
ターゲティング(Targeting)
セグメント化した選択肢の中から、「どのグループに注目するか決めること」です。
お客さんをいくつかのグループに分けた後、どのグループに商品やサービスを売りたいか選びます。
たとえば、スニーカーを売るお店なら「運動部に入っている高校生」を狙うのか、「おしゃれに敏感な高校生」を狙うのかを決めます。
ターゲティングをすることで、そのグループに合った広告やメッセージを作れるようになります。
これにより、興味を持ってもらいやすくなり、商品が売れやすくなるんです。
簡単に言うと、「誰にアピールするかを決めること」がターゲティングです!
ポジショニング(Positioning)
ポジショニングとは「自分の商品やサービスをどう見てもらうか決めること」です。
たとえば、同じスニーカーでも「動きやすさが一番!」と伝えるか、「おしゃれでかっこいい!」と伝えるかで、買いたい人のイメージが変わりますよね。
他の商品と比べて「自分たちだけの強み」をはっきりさせることで、お客さんに選んでもらいやすくするのがポジショニングです。
学校で例えると、勉強が得意な自分を見せるのか、運動が得意な自分を見せるのかを選ぶようなものです。
自分の「売り」をはっきりさせることが大事なんです!
このフレームワークを活用すれば、あなたの強みを的確に企業に伝えられます。
自己分析や企業研究に応用でき、効果的なアピールにつながります。
STPを使って戦略的に就活を進めましょう!
アンゾフ・マトリクス
企業が成長戦略を考える際に使われるもので、既存市場や新規市場における製品の展開方法を分析・計画するためのツールです。このマトリクスは、企業が取るべき戦略を4つのタイプに分類します。
アンゾフ・マトリクスは、以下の2軸で構成されています:
市場軸
既存市場:現在の顧客やターゲット市場。
新規市場:新たに参入を検討する市場や地域。
製品軸
既存製品:現在提供している製品やサービス。
新規製品:新たに開発または提供する製品やサービス。
これを組み合わせて、次の4つの戦略が導き出されます:
①市場浸透戦略(Market Penetration)
既存市場に既存製品をさらに浸透させる戦略。
例:価格の見直し、販売促進、シェア拡大。
②市場開拓戦略(Market Development)
既存製品を新規市場に投入する戦略。
例:海外進出、新しいターゲット層への訴求。
③製品開発戦略(Product Development)
新規製品を既存市場で販売する戦略。
例:製品改良、新商品やバージョンアップの展開。
④多角化戦略(Diversification)
新規市場に新規製品を投入する戦略。リスクが高いが成長の可能性が大きい。
例:新分野への事業参入、新規技術を活用した製品開発。
マッキンゼーの7S
①Strategy(戦略)
組織が目指す方向性や目標を達成するための計画や方針を指します。競争優位性をどのように築くかが重要です。
②Structure(組織構造)
組織内の役割や責任の配置、階層構造などの仕組み。戦略を実行するための組織デザインが求められます。
③Systems(システム)
日々の業務やプロセスを支える手順やルール、技術的な仕組みです。業務効率や生産性を左右します。
これらは「ハード要素」と呼ばれ、具体的で測定可能なものです。
④Shared Values(共有価値)
組織全体に浸透している価値観や理念。7Sの中心に位置し、他の要素すべてを結びつけます。
⑤Skills(スキル)
組織のメンバーが持つ能力や専門知識。競争力を高める上で重要な要素です。
⑥Staff(人材)
組織内の人材やその配置。適材適所の実現が求められます。
⑦Style(スタイル)
リーダーシップや組織全体の行動様式。トップの経営スタイルが組織文化に大きく影響します。
たとえば、企業研究や分析時に7Sを使えば、特定の企業がなぜ成功しているのか、または課題を抱えているのかを体系的に理解できます。
就活生が志望企業を深く理解する際にも役立つフレームワークです。
コンサル業界を目指す就活生が覚えておきたい11のフレームワーク【まとめ】
コンサル業界でよく使われている11のフレームワークはいかがでしたか?
いっぱい出てきてお腹いっぱいになってしまったかもしれませんね。
できるコンサルタントは、普段からこのような様々なフレームワークを使って物事を色んな角度から見て考えているため、問題解決のための素晴らしいアイディアを思いつくのです。
全部覚えなくてもいいので、こんなフレームワークがあるんだなと頭の片隅にあるだけでも何かのプロジェクトを任された時に約に立つかもしれません。
色々使ってみて自分に合ったフレームワークを武器としてもっておくと、これからの社会人生活できっと役に立つと思います。
また、自分の就職活動に当てはめて使ってみると面白いかもしれません。
面接で、今の私の状況をPEST分析してみたところ…
と、話し出す学生がいたら、コンサル業界の面接官達は面白がって話を聞いてくれることでしょう。
今日のあなたへの質問
「今のあなたの就活における問題点をMECEに分解してみましょう」
それでは今日も就職活動、頑張ってください!
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